「強制ゴール」
MBOは、長期投資家にとって少し厄介なイベントだ。
「強制ゴール」という言葉が、これほどしっくりくる場面もない。
こちらは10年、20年と持ち続けるつもりで企業を見ている。
時間を味方につけ、事業の成長とともに歩むつもりでいる。
だがMBOが発表された瞬間、そのレースは唐突に終わる。
しかも悪い形で終わるわけではない。
多くの場合、TOB価格にはプレミアムが付く。
損をするどころか、きれいなリターンが確定することも多い。
それでも、どこか釈然としない。
なぜならMBOは、
「この企業を長く持ち続けたい」という投資家の意思とは無関係に、
ゴールテープを引かれてしまう行為だからだ。
一方で、冷静に考えると皮肉でもある。
MBOが起きるのは、たいてい「良い会社」だ。
市場が十分に評価していないと経営陣が感じ、
自らの資金と責任を賭けて、会社を市場から引き上げる。
それはつまり、
市場よりも、経営陣の方が
この会社の未来を強く信じている
という状況でもある。
長期投資家が信じていた企業価値を、
最後に証明するのがMBOだとすれば、
それは祝福すべき強制ゴールなのかもしれない。
永久保有を掲げていても、永久に持てるとは限らない。
MBOは、その現実を静かに突きつけてくる。
強制ゴールという名のMBO。
それは、長期投資の終わりであり、
同時に、自分の判断が間違っていなかったことを示す
少し複雑な答え合わせでもある。
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