2025年12月1日月曜日

ニデック(6594)

 ――成長企業が「長寿企業」に変わる瞬間を考える

はじめに

永久投資とは、
「株価が上がるかどうか」ではなく、
その企業が何十年先も存在し続けられるかを考える投資だ。

2025年12月。
1年を振り返り、長期投資の思想を総括するにふさわしい企業として、
私は**ニデック**を取り上げたい。


会社概要(簡潔に)

日本電産は
1973年、永守重信氏 によって創業されたモーターメーカーである。

  • 小型精密モータで世界シェアトップ級

  • M&Aを成長エンジンとして急拡大

  • EV・産業機械向けモータに注力

日本の製造業史において、
**「創業者が一代で築いた巨大企業」**の代表格と言える存在だ。


なぜ日本電産を選んだのか

① 成長企業でありながら「分岐点」に立っている

日本電産は、
もはや新興企業ではない。

一方で、
キッコーマンや花王のような
完成された長寿企業とも言い切れない。

  • 成長は続いている

  • しかし利益は安定していない

  • 経営体制も移行期にある

永久投資家にとって最も重要な問い、
「この会社は、どこで長寿企業に変われるのか」
を考えるのに、これほど適した企業はない。


② 創業者経営からの脱却という“最大の試練”

日本電産の成功は、
永守重信氏の存在抜きには語れない。

しかし長寿企業の条件は、
創業者が去ったあとも続くことだ。

創業者の思想・文化・経営スタイルを
いかに組織として昇華できるか。

これは、日本電産が
永久投資に値するかどうかを決める最大のポイントである。


③ 売上・利益・配当が「すべて語れる状態」にある

  • 売上高:拡大してきた

  • 営業利益:変動が大きい

  • 配当政策:安定志向だが試行錯誤中

どの指標も「完璧」ではない。
だからこそ、現実的な永久投資論が書ける。


永久投資としての5つのリスク

ここからは、
あえて厳しい視点で見ていく。


リスク①:利益の安定性がまだ足りない

売上は伸びても、
永久投資家が最も重視すべきは 利益の質 だ。

  • 市況の影響を受けやすい

  • 事業ポートフォリオが複雑

  • 統合コストが利益を圧迫

長寿企業に共通する
「静かな利益成長」には、まだ距離がある。


リスク②:M&A依存モデルの限界

日本電産の成長は、
M&Aによって加速してきた。

しかし、

  • 統合の難易度上昇

  • 管理コストの増加

  • 文化の分断

は、企業規模が大きくなるほど重くのしかかる。

M&Aは永続性を高める手段にも、削ぐ要因にもなる。


リスク③:創業者文化の「副作用」

強烈なトップダウンは、

  • 成長期には武器

  • 安定期にはリスク

になり得る。

  • 人材の定着

  • 次世代経営陣の自律性

が確立されなければ、
長寿企業への移行は難しい。


リスク④:EVテーマへの期待先行

EV関連は中長期テーマとして魅力的だが、

  • 投資回収の時間軸

  • 技術競争の激化

  • 価格競争

を考えると、
テーマ性だけで永久投資を語るのは危険だ。


リスク⑤:「成長企業」のまま終わる可能性

永久投資家が最も警戒すべきなのは、

成長はしたが、長くは続かなかった企業

である。

日本電産が

  • 成長企業

  • 長寿企業

どちらで歴史に残るかは、
まだ決まっていない。


永久投資家としての結論

日本電産は、

  • 今すぐ永久投資できる完成形ではない

  • しかし、永久投資に“変わる可能性”を秘めた企業

である。

日本電産を持ち続けるとは、
成長を信じることではなく、
変化に耐える企業かを見守ることだ。


おわりに

12月の記事に、日本電産を選んだ理由は明確だ。

  • 1年の総括として

  • 永久投資の本質を問い

  • 読者に「考える余白」を残せる

答えを出すためではなく、
問いを持ち帰るための企業。

それが、日本電産である。

 


 


 

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