―― それは“魅力”ではなく「警告灯」である
予想配当利回りは、
投資指標の中でも最も分かりやすい。
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高い → お得そう
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低い → 魅力がない
だが長期投資家、ましてや永久投資を志向する投資家にとって、
予想配当利回りほど誤解されやすい指標はない。
それは「買いの理由」ではなく、
問いを立てるための指標だからだ。
そもそも予想配当利回りとは何か
予想配当利回りは
1株当たり予想配当 ÷ 株価
で計算される。
ここで重要なのは、
**分子も分母も“不確実”**だという点だ。
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配当は「予想」にすぎない
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株価は日々変わる
つまり予想配当利回りとは、
極めて仮の数字である。
長期投資家がこの数字を
“確定的なリターン”として扱うのは、
根本的に間違っている。
なぜ高い予想配当利回りに惹かれてはいけないのか
理由①:高利回りは、株価下落の結果であることが多い
予想配当利回りが急に高くなるとき、
それは多くの場合、
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業績悪化
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将来不安
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構造問題
によって株価が下がっている。
市場は
「この配当は続かないかもしれない」
と判断している可能性が高い。
高利回りは、
ご褒美ではなく警告であることが多い。
理由②:配当は最も切られやすい支出
企業が苦しくなったとき、
最初に調整されるのは配当だ。
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設備投資
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研究開発
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人材
これらを削るより、
配当を減らす方が簡単だからだ。
予想配当利回りは
“守られる数字”ではない。
理由③:高配当=良い会社、ではない
成熟・衰退産業では
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投資先がない
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成長余地がない
結果として、
配当だけが増えるケースも多い。
これは
「株主還元」ではなく「成長放棄」
である可能性がある。
永久投資家が欲しいのは、
今日の配当ではなく、
10年後も存在する配当だ。
それでも長期投資家が予想配当利回りを見る理由
では、
予想配当利回りは無意味なのか。
答えはNOだ。
ただし見るべきは
**水準ではなく“文脈”**である。
見方①:過去との一貫性
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配当を出し続けてきたか
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不況期にどう対応したか
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減配・無配の理由は何だったか
長期投資家は
**予想より“実績”**を見る。
見方②:配当性向・キャッシュフローとの関係
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利益の何%を配当に回しているか
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営業キャッシュフローで賄えているか
高利回りでも
CFが伴っていなければ、
それは持続不可能だ。
見方③:経営の思想が透けて見えるか
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無理な増配をしていないか
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業績が悪いときも極端に削らないか
配当には、
経営者の時間軸が表れる。
短期株主に迎合する会社は、
永久投資には向かない。
永久投資家にとっての「理想の配当利回り」
意外かもしれないが、
永久投資において
理想的な配当利回りは「高すぎない」。
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低すぎない
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だが高くもない
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そして“安定している”
この条件を満たす企業は、
配当を“結果”として扱っている
将来への投資を優先し、
余力で還元する。
これこそが、
長寿企業の配当政策だ。
結論:予想配当利回りは「入口」ではなく「確認項目」
予想配当利回りが高いから買う。
それは投資ではなく、期待である。
長期投資家がやるべきことは、
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この配当は10年後も続くか
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その間、企業は成長できるか
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社会から必要とされ続けるか
を考えることだ。
予想配当利回りは、
その思考を始めるための小さなきっかけにすぎない。
永久投資とは、
今日の利回りではなく、
時間そのものに投資する行為なのだから。
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