2025年6月1日日曜日

キッコーマン(2801)

 ――永久投資とは「時間を味方につける投資」である

長期投資を続けていると、
どうしても派手な企業に目が向く。

  • 高成長

  • 高利益率

  • 革新的な技術

だが、永久投資という視点で考えたとき、
本当に信頼できるのは、むしろその逆だ。

派手さはないが、100年以上、生き残ってきた会社。

2025年6月に取り上げる企業として、
私はキッコーマンを選ぶ。

キッコーマンは「醤油会社」ではない

キッコーマンと聞くと、
多くの人は「醤油メーカー」を思い浮かべる。

しかし永久投資家の視点では、
この理解は不十分だ。

キッコーマンの本質は、

発酵技術 × 食文化 × 日常消費

という、極めて強固な構造にある。

  • 毎日使われる

  • 無意識に選ばれる

  • 代替されにくい

これは景気にも、技術革新にも、
非常に強いビジネスモデルだ。


なぜ100年以上、生き残れたのか

キッコーマンは
流行を追いかけてきた会社ではない。

  • 味を大きく変えない

  • ブランドを壊さない

  • 無理な拡大をしない

その代わりに、
時間をかけて“信頼”を積み上げてきた。

永久投資とは、
「変化に強い会社」ではなく、
「変わらなくていい部分を知っている会社」に投資すること
なのかもしれない。


PBRが語る、キッコーマンの経営姿勢

キッコーマンのPBRは、
極端に低くも、高くもない。

これは偶然ではない。

  • 資本を溜め込みすぎない

  • 無理な投資をしない

  • 株主還元も、将来投資も怠らない

市場はこの姿勢を、
**「信頼できる経営」**として評価してきた。

PBRは安さの指標ではない。
経営への信用度だ。

キッコーマンのPBRが1倍を割りにくい理由は、
そこにある。


海外比率の高さは「静かな競争優位」

キッコーマンは、
日本企業でありながら、
海外売上比率が高い。

特に米国では、
「醤油」はすでに調味料の一ジャンルとして定着している。

重要なのは、
これが派手なM&Aの結果ではない点だ。

  • 現地生産

  • 現地雇用

  • 数十年単位の浸透

時間を武器にしたグローバル化

これは永久投資家が最も評価すべき成長だ。


永久投資家が直視すべき5つのリスク

もちろん、
キッコーマンも無リスクではない。


リスク①:原材料価格の変動

大豆・小麦の価格は、
地政学・気候変動の影響を受けやすい。

ただし
価格転嫁が可能なブランド力が、
致命傷を防いでいる。


リスク②:食文化の変化

減塩・健康志向は無視できない。

だがキッコーマンは

  • 減塩商品

  • 機能性提案

で、文化の変化に“追随”してきた。


リスク③:成熟市場の成長鈍化

日本市場は確実に縮む。

しかし同社は
すでに日本依存から脱している。

これは長寿企業として、
非常に重要な点だ。


リスク④:為替の影響

グローバル企業である以上、
為替の影響は避けられない。

ただし
事業が生活必需に近いため、
業績の振れは限定的だ。


リスク⑤:地味すぎるという最大の弱点

キッコーマンは、
投資家にとって退屈に見える。

だが永久投資において、
退屈は最大の美徳でもある。


それでも永久投資候補に残る理由

キッコーマンは

  • 急成長しない

  • 驚かせない

  • 失望もさせにくい

だが、

10年後、20年後も
食卓に存在している確率が極めて高い。

永久投資とは、
この「確率」に賭ける行為だ。


結論:永久投資とは、味が変わらないことを信じること

キッコーマンは、
未来を語る会社ではない。

日常を守り続ける会社だ。

派手な企業分析に疲れた長期投資家に、
こう問いかけたい。

あなたは、
100年後も残る“普通”に投資できるだろうか。

それが、永久投資という考え方である。

 

 

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