―― 正しすぎる長寿企業が抱える、5つの構造リスク
「花王はいい会社だ」
これは多くの人が同意する事実だろう。
だが永久投資において重要なのは、
いい会社かどうかではない。
持ち続けるに値する会社かどうかだ。
130年以上続く日本屈指の長寿企業・花王(4452)。
この会社は、永久投資の理想と現実を同時に突きつけてくる。
花王という企業の本質
――「製品寿命」ではなく「企業寿命」を伸ばしてきた会社
花王の創業は1887年、創業者は長瀬富郎 。
石鹸から始まり、洗剤、化粧品、ヘルスケア、化学素材へ。
花王がやってきたのは、
当たる商品を作ることではない。
時代に合わせて自らを作り替えることだ。
これは長寿企業に共通する資質であり、
永久投資家にとって最大の魅力でもある。
それでも直視すべき「永久投資としての5つのリスク」
花王は“正しい会社”だ。
しかし永久投資では、
正しさがリスクになることもある。
リスク①:国内消費依存から完全には脱却できていない
花王は海外展開を進めているが、
依然として日本市場の比重は大きい。
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人口減少
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価格転嫁の難しさ
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ドラッグストアの交渉力
これらは構造問題であり、
努力だけでは解決しない。
永久投資では
市場そのものの寿命を見なければならない。
リスク②:原材料価格と為替の影響を受けやすい体質
洗剤・化粧品は、
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原油由来原料
-
化学素材
に強く依存する。
価格転嫁は可能だが、
タイムラグが必ず発生する。
安定企業であるがゆえに、
短期的な利益変動が株価に反映されやすい。
リスク③:ROE・利益率の「かつての姿」を期待され続ける
花王は過去に、
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高ROE
-
高利益率
を誇っていた。
市場は無意識に
その水準への回帰を期待する。
しかし、
事業環境はすでに変わっている。
期待が高すぎる企業は、
永久投資において心理的負担が大きい。
リスク④:「ESG優等生」であるがゆえの成長制約
花王はESGの模範企業だ。
だがそれは、
-
急激なリストラをしない
-
強引な価格戦略を取らない
という制約にもつながる。
社会的に正しい経営と、
株主にとって最適な経営は、
必ずしも一致しない。
リスク⑤:配当の安定が「安心感」になりすぎる
花王は長年、
安定配当を続けてきた。
これは美徳だが、
永久投資家にとっては罠にもなる。
-
配当が出ている
-
だから大丈夫
という思考停止を招きやすい。
安定=成長ではない。
それでも花王を永久投資候補に残す理由
ここまで読むと、
「では、なぜ花王なのか?」
と思うかもしれない。
理由は明確だ。
理由①:簡単に壊れない事業構造
花王の商品は、
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生活必需品
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景気に左右されにくい
-
技術とブランドが絡む
これは長寿企業の条件を満たしている。
理由②:経営が極端にブレない
花王は、
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無理なM&Aをしない
-
流行に飛びつかない
派手さはないが、
致命傷を負いにくい経営を続けている。
理由③:「持ち続けるか、手放すか」を考え続けさせる会社
永久投資において最も危険なのは、
考えなくなることだ。
花王は、
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楽観もできない
-
悲観もしきれない
この絶妙な位置にいる。
思考を止めさせない企業は、
永久投資家にとって価値がある。
結論:花王は「永久投資の答え」ではなく「永久投資の問い」
花王は、持ち続けて正解だと言い切れる会社ではない。
だが、持ち続ける価値を考え続けるに値する会社だ。
永久投資とは、
銘柄を信じ切ることではない。
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疑い
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観察し
-
考え続ける
その対象として、
花王は非常に優れている。
永久投資家への最後の問い
あなたが花王を持つなら、
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何を期待するのか
-
何を許容するのか
-
どこで見直すのか
それを言語化できているだろうか。
それができて初めて、
永久投資は“思想”になる。
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