――「成長率」よりも「企業寿命」を測るために
短期投資と長期投資の違いは、時間軸だけではない。
見るべき指標そのものが違う。
長期投資、ましてや「永久投資」を志向するなら、
一時的な売上成長やEPSのブレに一喜一憂してはいけない。
重要なのは――
この企業は、10年後・20年後も“社会から必要とされているか”
それを数値で推し量るための指標である。
指標①:ROIC(投下資本利益率)
― 経営の「質」を最も正直に映す数字
ROICは
「経営者が預かった資本を、どれだけ効率的に使っているか」
を示す指標だ。
長寿企業の多くに共通するのは
-
派手な成長はしない
-
しかし資本効率を壊さない
という姿勢。
✔ ROICが資本コスト(WACC)を安定的に上回っているか
✔ 景気悪化局面でも急激に崩れないか
永久投資家にとって、
ROICは「経営哲学の成績表」である。
指標②:営業キャッシュフロー(安定性)
― 利益よりも「現金」を信じよ
長期で生き残る企業は、
会計上の利益ではなく、現金を生み続ける。
-
営業CFが長期的にプラス
-
設備投資後でも現金が残る
-
不況期に急減しない
こうした企業は
借金に追い込まれにくく、M&Aや投資の自由度が高い。
永久投資とは
「倒産リスクを極限まで下げる投資」でもある。
👉 営業CFは“企業の生命維持装置”。
指標③:売上総利益率(粗利率)の長期推移
― 競争優位は“高さ”より“持続性”に出る
粗利率が高い企業は魅力的だ。
しかし永久投資で見るべきは、
高いかどうかではなく、10年以上“保てているか”
-
技術が模倣されていないか
-
価格交渉力が維持されているか
-
顧客との関係が深いか
これらはすべて、粗利率の推移に表れる。
✔ 少しずつ下がる → 競争激化
✔ 横ばい → 強固なポジション
✔ 上昇 → 構造的優位が拡大中
永久投資家は「点」ではなく「線」で見る。
指標④:研究開発費 ÷ 売上高
― 未来を食いつぶしていないか?
長寿企業は
「今を稼ぎ、未来を仕込む」ことを同時に行う。
R&D比率が
-
低すぎる → 未来を捨てている
-
高すぎる → 収益規律がない
このバランスが重要だ。
特に注目すべきは
✔ 不況期でもR&Dを削らないか
✔ 研究テーマが事業と接続しているか
👉 研究開発は“企業の老化防止薬”。
指標⑤:配当性向ではなく「配当の思想」
― 数字よりも“姿勢”を見る
永久投資では
-
高配当かどうか
-
配当利回りが何%か
は二次的だ。
見るべきは
✔ 減配しにくいか
✔ 無理な増配をしていないか
✔ 投資と還元のバランスが一貫しているか
長寿企業は
株主を“短期の顧客”として扱わない。
配当は
「余ったから配る」のではなく
「持続可能な範囲で共有する」もの。
まとめ:永久投資家は「派手な数字」を信用しない
短期投資家が見るのは
-
成長率
-
話題性
-
トレンド
長期投資家が見るのは
-
資本効率
-
現金創出力
-
競争優位の持続性
そして永久投資家が最終的に問うのは、ただ一つ。
この会社は、社会にとって“なくなると困る存在”か?
数字はそのヒントにすぎない。
だが、正しい数字を見なければ、正しい未来は想像できない。
0 件のコメント:
コメントを投稿